はじめに
本投稿はSymbolPlatform公式記事の日本語訳になります。
誤訳などある場合は、コメントにてご指摘いただければと思います。
本稿では、Symbolブロックチェーンを利用したIoT制御システム構築として、
IoDLTという会社さんの導入事例をご紹介しています。
公式記事ではIoT制御にSymbolが何となく使われているとしか伝わらないため、
訳文だけでなく、更にIoDLT社の具体事例を深堀する記事としました。
タイトルの通り、IoTドローン配達を、Symbolで実現しようとしています。
Amazonのドローン配達のニュースは皆さんご存じかと思います。
それと同じようなことを、Symbolで実現している現場の熱量を伝えます。
IoDLTの導入事例(訳文)
リアルとデジタルの世界をつなぐ、手頃な価格のIoTとブロックチェーンソリューションの創出
IoTはInternet of Thingsの略で、インターネットに接続されたデバイスの中で急成長しているカテゴリーです。
IoTデバイスの例としては、動きに反応するカメラ記録、温度に敏感な医薬品出荷用の温度計、そしてもちろんスマートテレビやあらゆる種類の家電製品などがあります。
Business Insiderは、2021年までに世界で150億台以上のアクティブなIoTデバイスが存在すると予測しています。IoTデータの量が増えるにつれ、ユーザーはIoTが決済ソリューションや分散型システムとインターフェースする方法を必要とすることは明らかです。
IoDLT(Internet of Distributed Ledger Technology)は、NEMのSymbolを使用して、IoTデバイスを含む様々なソースからのデータをセキュアにし、記録し、収益化する企業です。
挑戦
IoTデータは、管理、記録、検証がますます困難になっています。
データの収集と記録は、安全で、耐障害性があり、他のシステムと容易に統合でき、適切にインセンティブを与えられるものでなければなりません。
アプローチ
NEMのSymbolは、IoDLTがIoTアプリケーションで収集した大量のデータを簡単に検証し、安全を確保できるようにします。
IoDLTは、Symbolブロックチェーンを使用して、Symbolのみと直接対話する多目的IoTデバイスAxonを作成しました。
Axonは、サプライチェーン、医療データ、代替エネルギー、資産追跡のユースケースなど、さまざまな業界のニーズを満たすために、多数のセンサーを使用することができます。
Axonからのデータは、データの整合性が保たれるように、仲介サーバーを介さずにSymbolを介して直接伝搬されます。
ANT$は、データ収集のインセンティブを与えるためにSymbolを使用する、IoDLTの分散型、許可されたデータ集約プロトコルです。AxonはANT$と統合して、シームレスで安全なIoTとM2Mのインタラクションを提供し、データのインセンティブを高めるオプションを提供します。
例えば、匿名化された健康データを共有したいと考えている多くの病院を想像してみてください。各病院は自分の患者データを安全に保ち、パートナー病院に許可トークンを発行することができます。これらのパーミッションは他のアカウントに転送することはできず、トークンに設定された特定の匿名データにのみアクセスすることができます。これにより、すべての病院は患者の機密記録にアクセスできないようにし、共有可能なデータをリアルタイムで共有できるようにします。
中小企業、医療機関、その他の企業ユーザーであっても、IoDLTは安全なエンドツーエンドのブロックチェーンとIoTソリューションを提供し、お客様のビジネス需要に合わせて拡張することができます。
ベネフィット
IoDLTは、新興の数十億ドル規模のブロックチェーン業界を、崩壊させ、民主化するでしょう。
IoDLTは、ヘルスケア、物流、資産追跡、データ集計、IoTなどの実生活のビジネスアプリケーションにおけるSymbolベースのブロックチェーンソリューションの展開に注力しています。
IoDLTのソリューションは、Symbolの高いパフォーマンス、安全性、手頃な価格、モジュール式ブロックチェーンによって可能になります。
バーダー・ユセフ、創設者
IoDLTの具体事例紹介(追加記事)
公式記事の重要な点は、最後の一文かと思います。
IoDLT社がなぜSymbolを選択したのかをもう少し詳細にひも解いていきましょう。
ドローン配達システムの未来:SymbolとAXON IoT
例えば、IoDLT社のホームページにて本稿の「AXON」を利用した、ドローン配達システム制御の日本語記事が紹介されています。
プロジェクトで利用される「AXON IoT」と「ドローン」の画像もあります。
Symbolの利用のされ方も詳細が記載されていますが、以下にSymbolの利用部分のサマリを紹介します。
ドローンデータの集約
ブロックチェーン上のキーセンサーとフライトテレメトリーを集約可能です。このデータは暗号化され、適切な利害関係者のみが利用できます。
ドローンへのアクセス制御
適切な許可がチェーン上の署名の形で与えられた場合にのみ稼働します。
ドローン通信(飛行制御)
ドローンは、モデル、ブランド、またはユーティリティに関係なく、チェーン上の飛行情報と気道情報の共有プールにアクセス可能となっています。
ドローン自己分析
ドローンに事故の最後の瞬間をチェーンに記録して、分析が可能にします。
P2Pドローン配達
ブロックチェーン固有の機能を使用して、無人でピア·ツー·ピアの配達を行うことも可能です。
上記のようなSymbolの利用箇所において、IoDLTは、以下のように、Symbolブロックチェーンの優位性を語っています。
Symbolブロックチェーンの優位性(抜粋および一部改編)
Symbolブロックチェーンには、マルチシグネチャアクセス、メタデータ、アトミックスマートコントラクト、チェーン上のアカウントに割り当てることができる特別な「ルール」(制限)など、多くの組み込み機能が搭載されています。
標準のREST APIインターフェイス経由でも使用できます。
つまり、AxonなどのIoTデバイスにマイニングやステーキングは必要ありません。
Symbolは、業界標準にすでに適応しているブロックチェーンにおける実用的な選択肢なのです。
これらの機能は、所有権、アクセス制御、ピア·ツー·ピアスマート契約を定義するのに非常に役立ち、コンピューティングリソースを犠牲にすることなく、ドローンが真の自律機能を搭載する事ができるようになります。
結論
Symbolの必要十分の提供機能と、開発容易性により採用したということです。
おわりに(雑感)
DAOに着実に近づいている
人が介在せずに、ブロックチェーン固有の機能を使用して、無人でピア·ツー·ピアの配達を行うことを実現しようとしている記事をみて思い出しました。
「ブロックチェーンの衝撃」に気象情報を人を介在せずに売るドローンの思考実験を通して、DAOの在り方を説明しているものがありました。
本稿のドローンの例でも、Symbolを利用することにより、完全に人の関与は排除されませんが、人の介在を減らすところまで進んできているのだなと胸が熱くなりました。
Symbolの有用性の再認識
DAOの実現はまだ先のことであり、それはSymbolブロックチェーンでの実現は叶わないものなのかもしれません。
とはいえ
人の労力を極力へらすビジネスの構築という、目の前にある課題を解決するスピード感は、Symbolで十分に実現可能で、最も最適な選択肢の1つ
なのだと再認識しました。
実現スピードという1点において、Symbolは最もビジネスよりのブロックチェーンの1つであると強く思います。
ちなみに先に紹介した「ブロックチェーンの衝撃」にて元NEM財団代表のロン・ウォン氏も寄稿していらっしゃいます。その一文をもって本稿を閉じようと思います。
NEMは、ビットコインで発明されたブロックチェーン技術の欠点を克服する必要性から誕生した。
NEMは(中略)
より効率よく、より単純で、拡張しやすく、そして何よりも業界標準のAPI仕様とデザイン構造をもって外部アプリケーションとの統合を容易にするものである。
「ブロックチェーンの衝撃」よりロン・ウォン氏の寄稿から抜粋