はじめに
本稿はNEMコミュニティ「NEMHub」の「”新型コロナで変わる世界” Symbolで貢献しよう」というお題に対する記事になります。
新型コロナウィルス(COVID-19)により、私たちの生活は激変しています。
コロナ禍の制約された生活の中、新たな価値観・生活様式が選択肢として産まれています。
新しい価値観・生活様式を、円滑に進めるうえでの障壁となっているギャップが、課題やニーズとして見受けられるようになってきました。
それら課題・ニーズに対して、様々な解決方法が検討され産みだされていることはご存じかと思います。
その中でも、
コロナ禍の問題に対しては、ITシステムやITサービスが効果をあげている
のもご理解いただけるかと思います。
1918~1920年にパンデミックを起こした「スペイン風邪」の時代にはなかった、IT技術、とくにインターネットという発明が、代替的ではなく、むしろ従来方法より優れた価値を提供しているものでさえあります。
新型コロナウィルス(COVID-19)は、医学の力により克服されると確信しておりますが、それ以降も新たな感染症の発生は、これからも続く人類史の中で、幾度となく戦うことになると思います。
アフターコロナの時代にあっても、役立つようなITサービスを、ブロックチェーン技術、とくにSymbolプラットフォームで提供できないかを考えていきたい
と思います。
コロナ禍で必要とされているもの
コロナ禍で必要とされたものは何でしょうか?
1つは、「ソーシャルディスタンス」という標語もある通り、
コミュニケーションにおける「距離」が求められた
のは間違いないと思います。
直接顔をあわせて接する事が非常に価値あるモノとなったわけです。
その「距離」を埋めるべく、ビジネスだけでなく、プライベートにおいても、
リモートコミュニケーションが必要
となりました。
「リモートワーク」や「ZOOM飲み」など、リモートでのコミュニケーション手段が劇的に身近になったと思います。
その延長線上として、VR+SNSを目指す「cluster」や、VR+ホストなどの業態と、VR技術とアバターを用いた、新たなコミュニケーション形態も生まれています。
まさに、
コロナによって分断された人と人の物理的な「距離」を埋めるため、IT技術を駆使したコミュニケーションツールが使われた
といっても過言ではありません。
今後、コロナ禍は収まっても、新たに生み出されたリモートコミュニケーションの波は収まることなく、うねりをもって広がっていくことと思います。
広報・コミュニケーションにおけるアバター利用の拡大
そんなリモートコミュニケーションにおいて、アバターの活躍が目立ってきています。
バーチャルYouTuberは言わずもがなで、水産庁の広報にも使われていたりします。
または、ゆるキャラを3Dモデリングしたアバターを作ると、非常に広告効果が高い動画や、3次元でのコミュニケーションツールで広報できるようになるんじゃないかと思います。
実際、渋谷区議の鈴木けんぽう氏は、バーチャル渋谷なるclusterの空間にて、自らのアバターを動かして活性化を図っています。
VRだけではありません、アバター活用の流れは、MRやARに発展していっています。
こちら、私の知人が作ったデモで、アバターを生活空間にHoloLens2で投射しています。
アバターは、これからのXR(VR、AR、XR)コミュニケーションにおいて、ニッチなギークな界隈に閉じたものから、一気に需要が増加することが将来考えられます。
例えば、ビジネス上のWeb会議においても、ZOOMのようなビデオ会議をこえて、VRやMRによってリアルな人物を精密に模写したアバターを投影した3Dホログラム会議などが近い将来増えてくることが考えられます。(マイクロソフトが力入れて作っている)
コロナ禍や、アフターコロナの時代には、
3次元コミュニケーションがリモートで行えるように進化していく
ことが、既定路線にのったとまで言えると思います。
アバタービジネス
そこで思ったのが、アバターのマーケットプレイスをつくってはどうだろうか?という話です。
自らの3次元計測情報を渡してリアルモデルの作成を依頼したり、またはデフォルメされたキャラクターを作っていただいたり、当然、気に入ったキャラクターを購入したり、借りたりできるマーケットプレイスです。
そのような
アバターマーケットプレイスの基盤として、ブロックチェーン技術を活用できないか
と考えています。
モデラーへの投げ銭可能なアバター公開サイトSNS
まずはnemgraphのような、
アバターモデリングのモデラーに対して投げ銭が可能なサイトを作る
というのが良いと思います。
NEMプラットフォームにおいては、投げ銭SNSサイトの実績が多数あります。基本的な基軸通貨となるXEMやXYMだけでなく、モザイク(トークン)の発行・授受が非常に容易であることが、投げ銭サイト構築の難度を下げていることがわかります。
以下のようなモデリングを公開するサイトはありますが、モデラーに対して対価が払われていません。優れたモデラーには尊敬と共に、活動資金を得てほしいものです。
マーケットプレイス
さらにアバタービジネスのプラットフォーム拡充として、マーケットプレイスが考えられます。
Symbolにおいては、複数トランザクションを同時実行するアグリゲートトランザクションや、異チェーン間のクロスチェーンスワップ機能があり、不可分にトークン交換をすることが可能です。
アバターの購入やレンタル料をXYMで支払いつつ、利用トークンを配布する
などの方法で、アバターのマーケットプレイスが構築可能と考えられます。
更に、アバターのモデリングデータについて、
価値ある逸品などは、利用権限を制限して、アバターそのものを固有のモノとして流通させる
という事も考えられます。
つまり、
アバターモデリングデータの所有権をNFT(ノン・ファンジブル・トークン)として管理する
手法です。
Symbolにはメタデータをトークン上に記録する機能があるため、1024文字までの文字列を保存できます。ここでアバターデータから、固有性が担保しうる文字列を吐くハッシュ関数を利用します。この固有識別可能な文字列を、メタデータに格納したトークンを発行して管理するなど考えられます。
夢の国プロジェクト
前述のようなアバターデータのNFT化が進むと可能な話が「夢の国プロジェクト」です。
ディズニーやユニバーサルスタジオなど、キャラクタービジネスがますます勢いを増しているのは偶然ではないと思います。
生産性の向上と、人類の共調により、人の労働時間は著しく減少しています。
産業革命渦中、幼い子どもを含む工場労働者が1日に10~16時間も働く大きな問題があり、その後、10時間、8時間と労働時間を制限する闘いが繰り広がれ、今の8時間労働が世界的に広がり、今では北欧諸国で6時間労働、週4日労働へのシフトが検討されています。
当然、労働環境は個々人の置かれる状況で、まだ過剰労働に悩む方もいらっしゃるとは思いますが、世界的には、労働外の時間が増えていることは明白です。
その空いた時間を埋めるための1つの体験として、キャラクタービジネスのコンテンツの需要が高まっているといえるかもしれません。
しかしその中、コロナ禍により、実態のテーマパーク本体においては暗いニュースが立ち込めている状況です。具体的にはアクターの配置転換、レイオフを迫られる事態となっています。
非常に悲しい事態ですが、そんな彼らをも救える話として、
VR空間でテーマパークを運営する
というのが冴えた解決策なのかもしれません。
キャラクターの動きをアクターが実演することで、こだわりのリアルタイム感・臨場感があるVRテーマパークが運営できれば、実際のテーマパークへ容易に来られない層へのリーチも可能になり、アクターの雇用にもつながります。
ここでブロックチェーンの役割は、テーマパークのキャラクターモデリングのVR空間インスタンスにおける登場数の管理なども、前述のNFT的な利用方法で制約をかける事に用いることが考えられます。
つまり、
VR空間に同時に1体しか存在しないようなユニークなアバター
なんてものもや、
訪れるユーザのアバターを装飾する、
被り物のようなグッズモデルの販売
なども、ブロックチェーンのアセット管理にて有限的な管理が可能になります。
とくにSymbolなど強力なトークン発行・管理プラットフォームを利用することで、VRサービス内のアセットデータの有限・固有管理が容易になるでしょう。
そして他インターネット上のサービスに対して相互運用サービスを提供するなども考えられます。
例えば、特定アセットの保持によって、ECサイトの同一の実物の購入権が得られたり、来場者アバターとキャラクターが描かれたグリーティングメッセージが送られてくるなど、新たなサービス展開が考えられます。
おわりに
距離を隔てて楽しめるリモートコミュニケーションコンテンツは、
コロナ禍だからこそ大きな需要があり、そして、コロナ禍が過ぎたとしても、体験を提供する新たなプラットフォームとして認知され、維持される
事になります。
XR端末の進化により、その体験は、これまで以上にリアルな体験に近づいていき、行き着く先として「夢の国プロジェクト」のような、テーマパークの疑似体験があります。
その過程において、
XR上のモデルデータが、インターネット上の海賊データのように複製利用されることのないように、ブロックチェーンを利用した有限・固有なアセット管理の整備が必要
になります。
そのようなモデル管理プラットフォームとして、
相互運用性に長けたプラットフォームであるSymbolを活用することは、サービスの多角展開を睨んだ場合に、選択肢としてありうる
のかと思うのです。
以上、夢のような話でしたが、今みた夢は、既に技術的には構築可能なものです。
夢のような未来を実現するためにも、ブロックチェーン技術を広めていきたいものです。