はじめに
本稿は、IoTとブロックチェーン、特にブロックチェーン開発プラットフォームであるSymbolと組み合わせて実現されるユースケースを妄想するシリーズ第1弾です。
第1弾では、IoTの中でも近々値段が下がってきているIoT Cameraと、ブロックチェーンを利用して実現するユースケースを妄想してみました。
その名も
世界の覗き窓
SNSのような表現の場にもなり、お小遣いを稼げる場にもなる、そんなサービスになるかと思います。
世界の覗き窓
アトモフという製品があります。
IoTディスプレイを壁掛にかけ、世界中の1,000カ所の風景が広がる窓に見立てた製品です。
アトモフの最新機能として開発中なのが、ライブストリーミング世界の風景です。
家にいながらして、世界中の観光地や、何気ない路地や、そんな風景が「生」の説得力で感じられるIoT端末となっています。
これと、Symbolブロックチェーンを掛け合わせたら面白そうじゃありませんか?
概要
アトモフのライブストリーミング動画は、アトモフ社が世界から買い付けてきたものになります。
素晴らしい風景動画を公開されていますので、ストリーミング動画もワクワクするものにはなるのでしょうが、どうしても中央集権型サービスの限界はあります。
これを、ブロックチェーンと掛け合わせることで、参加型サービスしてみたら面白いんじゃない?
というのが「世界の覗き窓」サービスの概要です。
詳細
サービスイメージの詳細は以下になります。(クリックすると拡大表示)
細かく説明していきますと・・・
視聴者
世界のストリーミング動画を視聴するユーザです。
ストリーミング動画を公開するカメラを選択して、サービスを享受します。
ユーザは動画視聴に対して、暗号資産(XYM)で支払います。
動画視聴のためのトークンと、対価の支払いは、Symbolのクロスチェーンスワップを活用して、不可分に、取引所の介在なく交換されるように実現されます。
Symbolのモザイク発行機能で、期限付きの動画視聴用のトークンを発行できます。
保持する視聴者に、ストリーミング動画を公開するデザインがシンプルかもしれません。
質の良い動画を公開するカメラには視聴者から「イイね」が送れるようにし、期間・エリア・カテゴリ別のランキングなど表示される、まとめサイトなどが参加者が作れるような設計にします。
「イイね」はSymbolのモザイクトークンで構築できますね。
ストリーミング動画公開者
ストリーミング動画を公開するユーザです。
YouTubeのライブ動画配信等の設備でも足りますし、5Gの導入が進むと、動画配信コンテンツはますます需要が高まりますので、IoTカメラが直接5Gを用いてインターネット上に動画公開するものが多くでてくることと思います。
公開者は自らのIoTカメラを、Symbolのアカウント登録の形で、チェーン上に公開します。
また、Symbolのアカウントに紐づくメタデータを利用することで、IoTカメラの固有情報を登録することになります。この固有情報を用いて、ストリーミング動画の提供の橋渡しを実現します。
またメタデータとしてIoTカメラが映すストリーミング動画のカテゴリ等もチェーン上で管理します。これらメタデータにより視聴年齢制限を、Symbolのモザイク制限におけるグローバル制限を利用して実現することも検討できます。
公開者は、視聴者の支払いから、送金手数料と、ストリーミング基盤の利用料などを除いた報酬を得ることができます。ストリーミング基盤への利用料の支払いは、Symbolのアグリゲートボンデッドトランザクションを用いて、異なるアカウント間のトランザクションの手配を実現します。
好評なストリーミング動画を提供するカメラは、チェーン上でも「イイね」が貯まり高評価となりますので、公開者は視聴料を引き上げて、更に高額な報酬を得ることもできるように設計にします。
または無償公開することも可能にし、世界にライブ動画で広報できるようにします。
ストリーミング基盤提供者
ストリーミング動画を公開者から視聴者に届けるプレイヤーです。
ストリーミング基盤は以下のようなプレイヤーが存在します。
(AWS MediaServices/Wowza Streaming Cloud/agora.io/Akamai Media Services Liveなど)
パブリックなものとしてはYouTubeやAbemaTV、ニコニコのライブ動画などもストリーミング配信基盤といえます。
このようなプレイヤーに対して、基盤提供するためのプロトコルを示して参加いただきます。
視聴時に発生する基盤利用に対して報酬を得ることができます。
前述の通り、視聴者が視聴トークンを購入する際に、Symbolのアグリゲートボンデッドトランザクションを利用して、視聴者が意識することなく、基盤提供者への報酬を提供する形が、サービスとしては使い勝手が良いでしょう。
おわりに
今回妄想したユースケースは色々な問題を抱えます。
おそらく管理者が介在しないサービスとして構築するには、越えなければいけない問題が大量にでてくるでしょう。
ブロックチェーン技術適用の成熟過渡期においては、Symbolのようなパブリックチェーンとプライベートチェーンを使い分けられる基盤を用いて、分散管理ではなく非中央集権なサービスとして立ち上げるのが良いかと思います。
中央集権的思想に立つことなくサービスを構築しはじめる、というスタンスが重要です。
サービスの成熟を重ねることで、参加者間で完結しうるスマートコントラクトの部分を増やしていき、将来的には管理者が存在しない、完全なる非中央集権的なサービスが実現されることになるでしょう。
IoTカメラとブロックチェーンを用いたユースケースは、
・映像データを依頼に基づき提供(必要に応じて、保存、付加価値を加える)
・データ提供に対して、対価として暗号資産で支払う
という、スマートコントラクトが成立しやすいケースなので、様々な派生ユースケースが考えられます。第2弾も、IoTカメラとブロックチェーンの可能性を考えてみる予定です。