中村屋@海老名

中村屋@海老名ラーメン
中村屋@海老名

海老名に映画を見に行ったので久しぶりに中村屋に足を運んだ。

中村屋は神奈川県大和市の中央にある小さな町桜ケ丘でひっそりと開店し、数年で全国一位の称号を得るに至った、天才ラーメン職人中村さんの店だ。

あまりの人気ぶりに行列が長くなりすぎて周りの店の入り口を塞いで問題になるなどの逸話もあった。私もその行列に並んでいたぐらい古くから中村屋のラーメンを愛し通っていた。

行列問題もあってか周囲の店との関係がこじれたのだろうか?中村屋は創業地を離れ、神奈川県海老名に移動する事になる。その後、ラーメン屋初であろうコース料理であるとか、お兄さんが厚木にZUND-BARを開くなど、面白いネタを提供してくれた中村屋さんであるが、当の店主は今やニューヨークでラーメンLaboなる、ラーメン研究所を開き、世界のラーメン職人を育成しているそうだ。中村さんはラーメン史に名を残す人になるだろう。

そんな中村屋に訪れるとラーメン屋らしからぬセンスの洋食屋のような厨房は相変わらずであったが、メインメニューである特中村屋が刷新されていた。

中村屋@海老名の厨房

中村屋@海老名の厨房

 

3種のチャーシューの構成が変わっていた。

昔は厚切りの短冊切りされた炙りチャーシューがあったと記憶していたが、今回は薄切りの2種と、ハムのような加工した厚切りのものが1種になっていた。

中村屋@海老名

中村屋@海老名

 

中村屋の真骨頂は、ラーメン1杯の完全なる調和であると思う。

創業時には大盛は店主の考えるバランスが崩れる為、販売されていなかった程、スープ・麺・具材のバランスが良く、ちょうど食べきる時にスープがなくなるような完璧さがあった。それから店主が一線から去ると、大盛の販売が開始されるなどして調和がくずれ、逆に悲しく思ったほどだ。

今回のチャーシューの変更はどう転ぶかが楽しみだった。

結果としては、前のほうが良かったように思える。薄切りのチャーシューは明らかにスープ・麺にあっていない。野性味が削がれたという感じだろうか?

もともとは、淡麗なスープに、野性味あるチャーシューがアクセントとなってバランスを保っていたように思える。それが薄切りチャーシューは生ハムのように行儀良すぎて食感がソフトすぎる。加工された厚切りのハムのようなものは、最近流行りの超淡麗鶏スープには合うかもしれないが、魚介系が強い中村屋のスープでは違和感がある。

ラーメン屋は常に進化しなければならない。業界は成熟し、そこそこ旨い店舗など星の数ほどあるようになった。その中で長く営業を続けるには進化する事を止めてはならないのだろう。ただ、創業の1杯に惚れて通いだしたラーメン屋には、創業の味を維持して欲しいというジレンマがあり悩ましいものである。

前の方が良かったと失礼なことを言っておきながら、スープは淡麗でありながら魚介系の出汁が強く深く効いていて、スープが絡みにくいストレートの細麺でも旨みが感じられる。最近スープの旨みを生かす為に中細・中太のちぢれ麺が主流になっているように思われる中頑張って細麺で通す事ができるのは、じわじわと舌先に旨みが残るスープの完成度があってこそだろう。

今でもそこらの店には負けない品質であることは間違いない。

 

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